トップ >サンダルウッドモノグラフ
 


Sandalwood     by Salvatore Battaglia
S.album, S.spicatum, S.lanceolatum S.yasi and S.austrocaledonicum
………………………………………………………………………………………..


サンダルウッド(白檀)

 サンダルウッドオイルを使う度に、私は1994年にイギリスで参加したブレンディングのワークショップのことを思い出します。私はボトルを傾けてドリピュレーターからサンダルウッドオイルを数滴出そうと奮闘していました。サンダルウッドオイルは非常に粘りのある液体なので、なかなかボトルから出てこないのです。ワークショップの講師は私がサンダルウッドに忍耐力を試されている様子を見て、この時間を素晴らしい瞑想のひとときと思って楽しむとよいですよとやさしく声をかけてくれました。 
 私は、エッセンシャルオイルは自然界からの人間への贈りものだと常々言っていますが、サンダルウッドオイルはその中でも最も神聖で貴重な贈りものだと思っています。
 ほとんどのエッセンシャルオイルの原料作物は毎年収穫しても、その作物自体を根こそぎ伐採することにはなりません。そういうものは持続可能な作物だと言えるでしょう。しかし、サンダルウッドの場合は、木そのものを引っこ抜かないとエッセンシャルオイルを抽出できません。なんて悲しいことでしょう。さらに気がかりなのは、樹齢25年以上のサンダルウッドの木を伐採しないといけないことです。最高のサンダルウッドオイルは、心材と根から抽出されるのですが、樹齢15年以上経たないと心材は出来ないのです。
 サンダルウッドオイルを使うのなら、持続可能な方法で採取されたものを入手し、責任を持って使うことが不可欠です。世界中にサンダルウッドを持続的に収穫するための厳しい法律があります。このモノグラフでは、サンダルウッドオイルという、自然が人間に与えた最も貴重な贈りものを私たちの孫の世代まで楽しめるようにどんな方策が採られているのか詳しく説明します。
 


植生と原産地

 ビャクダン属の種はビャクダン科に属します。ビャクダン属には約25種あり、インド、マレーシア、オーストラリア、太平洋諸島に広がっています。
 サンダルウッドの木は全て、他の植物の根に寄生する寄生植物です。私は一度、サンダルウッドを吸血鬼植物と呼んで、植物学者を怒らせてしまったことがあります。サンダルウッドの木が生き延びるためには他の木の根に自分の根を密着させて栄養を吸い取る必要があります。ただしサンダルウッドの木は寄生するからといって、宿主の木を殺すわけではありません。
 

イーストインディアンサンダルウッド
 商業的な価値が最も高いサンダルウッドはインド原産のSantalum albumです。イーストインディアンサンダルウッドと呼ばれます。
 S. albumは中程度の大きさの木(12〜15m)で、樹齢40〜50年で成熟期を迎えます。枝、樹皮、辺材は無臭で、エッセンシャルオイルは心材と大きな根に含まれています。インド、スリランカ、マレーシア、インドネシア、北オーストラリアなど熱帯地域が原産地であり、栽培地です。
 インドでは、再植林の制度を整えずに過剰な伐採を行ってしまったため、サンダルウッドが非常に手に入りにくくなってしまいました。その結果、世界中でサンダルウッドオイルの在庫が不足し、値段が高騰しました。
 残念ながら、違法な伐採とスパイク病によって、インドのサンダルウッドの消滅はさらに進んでしまっています。その結果、2012年には国際自然保護連合(IUCN)が絶滅の恐れのある種としてレッドリストに載せました。
 サンダルウッドはインド政府によって独占的に管理されていますが、それでも違法伐採や無差別伐採は止まらず、自然環境に生息するサンダルウッドの保護も進んでいません。皮肉なことに、インド政府による厳しい管理政策はサンダルウッドの木を育成し、守ろうとするという正当な動きをも、妨げることになってしまっているのです。現行の制度では、土地所有者は自分の土地にサンダルウッドの木が生えていると保護については責任を負わされるのにもかかわらず、木自体は政府が所有することになっているのです。土地所有者がサンダルウッドの木を保護するインセンティブはほとんどありません。
 

オーストラリアのサンダルウッド
 オーストラリアは、いくつかのサンダルウッドの種の原産地です。オーストラリアのサンダルウッドの中でとくに商業的価値があるのは、Santalum spicatumSantalum lanceolatumです。西オーストラリアのキンバリー地方には世界最大のSantalum albumのプランテーションがあります。
 
Santalum album
 オーストラリアのS. albumのプランテーションは1999年に始まりました。最近になって、やっとオーストラリア産のS. albumから採取されたエッセンシャルオイルが市場に出回り始めました。初回生産分が国際香料市場に出たとき、瞬く間に極めて高い値で売れました。ローズのほぼ2倍の値段ですよ! パーフェクトポーションは、なんとこの貴重なオイルを少量入手することができました。
 
Santalum spicatum
 西オーストラリア州政府の「西オーストラリア州のサンダルウッド産業開発計画2008〜2020年」という報告書は、S. albumS. spicatumのエッセンシャルオイル生産においてオーストラリアが主要なプレイヤーとなることを確実にするための構想が描かれています。2020年にはサンダルウッドのプランテーションの面積は5万ヘクタールに達するということです。
 西オーストラリアのS. spicatumの生産は1840年代以来、重要な輸出産業でした。初期の頃は、伐採に全く規制がありませんでした。伐採された木材の大半は中国に輸出されていました。しかし、過剰伐採の恐れから西オーストラリア州政府は、1923年に、サンダルウッドの収穫者の権利を守り、天然林を保護し、政府がロイヤリティーを回収するための規制を設けました。
 S. spicatumを継続的に維持するために、収穫の契約件数や場所を限定することで、収穫量は厳しく管理されています。収穫の許可は民間のサンダルウッド伐採業者だけに与えられ、収穫の割り当て制限が設けられ、収穫は幹の直径が最低何センチ以上のものだけ、全体の2/3までに止めるといった決まりがあります。生木を収穫した際は、周辺に種をまき、再生することが伐採業者に求められます。
 S. spicatumの商業的プランテーションも1999年に始まり、ここで育った木から採れたエッセンシャルオイルが市場に出るようになったのはここ2年のことです。
 

Santalum lanceolatum
 私はクイーンズランド州で育つS. lanceolatumという木から採れるサンダルウッドオイルにとりわけわくわくしています。この木はヨーク岬半島に広がり、クイーンズランド州からニューサウスウェルズ州にかけて、そしてビクトリア州の一部にも見られます。S. lanceolatumは1865年以来、ヨーク岬半島で収穫されてきました。
 S. lanceolatumの木材はS. spicatumと同様に、クイーンズランド州政府から保護植物収穫の許可証を交付された業者から入手できます。クイーンズランド州政府は伐採業者が収穫できる木材の量に対し、厳しい制限を加えて、管理しています。幹の直径は12cm以上のものだけが収穫対象です。
 クイーンズランド州では、この10年ほど、王領地(公有地)のS. lanceolatumの収穫量は年間300トン前後で推移しています。クイーンズランド州の環境保護法は、王領地では年間500トン、自由保有地(私有地)では年間50トンまでしか収穫できないと定めています。以前から違法な伐採が問題となっていましたが、この問題は今も続いています。
 


太平洋諸島のサンダルウッド
 太平洋諸島でも高品質のサンダルウッドが採れます。フィジーとトンガでは、Santalum yasiが、ニューカレドニアとバヌアツではSantalum austrocaledonicumが採れます。
 太平洋諸島でも、サンダルウッドの長期的な持続可能性を担保するための管理制度が導入されました。バヌアツでは、すべての森林は慣習的所有者が所有しています。森林は人々の生活にとても重要な役割を果たしています。サンダルウッドは何世紀にもわたって、収穫され、取引されてきました。オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)はバヌアツのサンダルウッドの育成やマーケティングの研究をサポートしてきました。プランテーションベースのサンダルウッド産業を確立するのが目標だということです。
 サンダルウッド関連の商品への需要は増す一方ですが、オーストラリア政府や農家が行う保護政策によって、健全な産業として確立し、サンダルウッドを後世に残すことができると私は信じています。
 オーストラリアには19世紀に太平洋諸島からサンダルウッド資源を略奪したという歴史がありますが、今の政府が太平洋諸島のサンダルウッド産業を長期的に持続可能にするために協力していることに私は安堵を覚えます。
 アロマセラピストも調香師も、サンダルウッドオイルとして、イーストインディアンサンダルウッドでなく、他の種類のサンダルウッドから採れたオイルを使うことにだんだん慣れてきているように思います。オーストラリアのプランテーションのサンダルウッドの木が年輪を重ねるにつれて、エッセンシャルオイルのサンタロール類(芳香の面からも、治療効果的な面においてもとても重要な成分)の含有率も高まっていくと思います。
 


 知ってましたか?
 オーストラリアと中国の貿易関係は、オーストラリアと太平洋諸島のサンダルウッドが最大の輸出産物の一つだった、1800年代初期まで遡るのです。お金に困っていた初期の定住者は、紅茶を愛するあまりに、サンダルウッドとお茶を交換する貿易を行っていたのです!



 

抽出方法

 サンダルウッドオイルは心材のチップを粉末状にしたものを水蒸気蒸留して抽出します。
S. spicatumに関しては、その抽出方法がちょっとした波紋を呼んでいます。当初は溶剤を使って抽出していたようであり、今でも溶剤抽出のS. spicatumのオイルを入手することは可能なようです。溶剤抽出だとすると、エッセンシャルオイルではなく、エキストラクトと呼ぶべきであり、蒸留されたエッセンシャルオイルと化学組成も大きく異なると言っている人もいます。
 パーフェクトポーションで取り扱っているS. spicatumのエッセンシャルオイルは死んだ木−−自然に倒れた木−−を水蒸気蒸留したものです。
 成熟したS. albumの木(樹齢30年以上)から採取できるエッセンシャルオイルは6〜7%程度ですが、S. spicatumからはたった2%程度で、S. lanceolatumからも2〜3%程度しか採れません。
 



特徴
 サンダルウッドオイルに関しては、誰もがある種類の方が他の種類よりも優れていると言いたくなるものです。一般的にサンダルウッドオイルの基準となるのはSantalum albumです。オーストラリアのサンダルウッド業界は、S. spicatumをイーストインディアンサンダルウッドの代用品としてマーケティングしたことについて批判を受けてきました。
 しかし、今、オーストラリアにはプランテーションで栽培されたS. albumから抽出された極上の香りのエッセンシャルオイルが存在することを誇りに思い、とてもわくわくしています。
 
色/粘性 香り
S. album 薄黄色から黄色
粘性が高い
 
甘く、香り高く、温かみがあり、ウッディ系。かすかに動物臭、ミルキーさ、ナッツの香りを含む。
S. spicatum 薄黄色から黄色
粘性が高い
 
ウッディで香りの持続性が非常に高い。トップノートはドライ、ビターでかすかに樹脂系のにおい。
S. austrocaledonicum 薄黄色から琥珀色
粘性が高い
 
やわらかく、温かみがあり、甘く、濃厚。バルサム系、ウッディ系の香り。
S. lanceolatum 薄黄色から黄色
粘性が高い
 
軽く、フレッシュでウッディな香り。かすかに蜂蜜とスパイスの香りがする。
 
それぞれのサンダルウッドオイルの香りはかなり異なるので、ブレンドする際には、どのサンダルウッドの香りがふさわしいのか吟味することを強くお勧めします。

 

伝統的使用法

 サンダルウッドとサンダルウッドオイルは古くから知られ、少なくとも2,500年前から使われています。
 


宗教における利用法
 宗教的儀式や社会的なセレモニーにおいて、幅広く使われてきました。サンダルウッドとサンダルウッド製品はブラフマン、仏教などの宗教儀式において不可欠なものでした。ヴァーマナ・プラーナによると、サンダルウッドの木はシヴァ神を祀るのによいと言われています。また、女神ラクシュミーはサンダルウッドの木に宿っていると言われています。
 サンダルウッドのおがくずをアラビアガムなどの材料とまぜて、線香が作られます。ヒンドゥー
教徒は宗教儀式の際、額にサンダルウッドの粉からできたペーストをつけます。
 


薬としての利用法
 サンダルウッドオイルはアーユルヴェーダ、中医学、チベット医学に伝統的に使われてきました。以下の症状のケアや目的に利用できます。
  • 風邪
  • 気管支炎
  • 発熱
  • 赤痢
  • 疥癬
  • 尿路感染症
  • 口腔内や咽頭の炎症
  • 肝臓・胆のうの不調
  • 去痰剤
  • 刺激剤
  • 駆風剤
  • 消化剤
  • 筋肉弛緩剤


 静脈瘤やリンパ節の腫れなど、静脈のうっ血やリンパ液の停滞を改善するのにサンダルウッドオイルは伝統的に使用されてきました。
 サンダルウッドはヨーロッパ中世のハーブ文献にはほとんど登場しません。サンダルウッドが淋病や尿路感染症の治療に勧められるようになったのは18世紀になってからのことです。
 ジャーマンコミッションEモノグラフでは、尿路感染症の対処には1〜1.5gのサンダルウッドオイルを勧めています。
 『Australian Medicinal Plants』の著者ラサックによると、S. lanceolatumはプラムブッシュと呼ばれるそうです。オーストラリアでは、伝統的に葉と樹皮の煎じたものが下剤として利用されてきました。葉はおでき、腫れ、淋病の治療に使われていました。根をつぶして、浸出液を作り、リウマチやかゆみを抑えるために患部に塗布していました。
 


香料としての利用法
 サンダルウッドは古代から香料の中で最も貴重な原料の一つとみなされていたことは間違いありませんし、今でもサンダルウッドオイルの人気はとどまるところを知りません。
 香水作りにおいてサンダルウッドが重宝されるのはセスキテルペンアルコール類、α-サンタロールとβ-サンタロールといった、保留剤の役割を果たす成分を含んでいるからです。
 ほとんどのインドのアッター(香油)はサンダルウッドオイルをベースにしていますが、それは空気のように軽いハーブや花の香りをしっかりと吸収する性質を持つからです。

 

化学組成 

 市販されているサンダルウッドオイルのうち主要4種の一般的な化学組成は次のとおりです。
成分 S. album S. spicatum S. lanceolatum S. austrocaledonicum
α-サンタレン 1.29 0.75 0.51 0.38
トランス-α-ベルガモテン 0.25 0.11 0.17 0.07
エピ-β-サンタレン 1.33 0.09 - 0.32
トランス-β-ファルネセン - - - 0.07
β-サンタレン 1.96 0.25 - 0.31
g-クルクメン 0.12 1.05 - 0.22
AR-クルクメン 0.22 1.41 1.12 0.25
β-ビサボレン 0.01 1.11 2.34 0.22
β-クルクメン 0.3 1.83 - 0.45
ネロリドール  - 1.22 1.82 -
トランス-ネロリドール  - - - 0.17
エピ-β-ビサボロール - - 3.01 2.19
β-ビサボロール 1.57 0.68 - 0.70
シス-α-サンタロール 47.59 1.78 4.48 25.41
エピ-α-ビサボロール - 25.01 - 0.60
シス-トランス-α-ベルガモトール 6.37 0.22 0.42 5.54
シス-エピ-β-サンタロール 3.74 0.18 0.40 1.88
エピ-α-サンタロール - 0.35 1.51 -
シス-β-サンタロール 21.39 0.31 0.23 12.04
シス-ヌシフェロール 0.42 8.05 4.59 20.72
トランス-ファルネソール - 0.62 3.31 -
トランス-β-サンタロール 1.60 1.95 - 0.16
シス-β-クルクメン-12-オール - 5.95 6.78 8.65
シス-ランセオール 1.77 5.73 22.08 9.37
α-シネンサール - 1.28 3.59 -
 


 S. albumのエッセンシャルオイルはサンタロールを90%以上含むのが一般的です。サンダルウッドオイルの生物活性のほとんどは主成分のα-サンタロールによるものです。サンタロール類はイーストインディアンサンダルウッドの上質なウッディノートの元になる成分として知られています。S. spicatumのエッセンシャルオイルはS. albumに比べてサンタロール類が少ないですが、抗炎症作用、抗微生物作用のあるビサボロール類、ファルネソール類、ヌシフェロール類を含みます。
 カーによると、ジャーマンカモミールにも見られるビサボロール類の存在が、S. spicatumの抗炎症作用に貢献しているということです。また、ファルネソール類はローズ、ジャスミン、イランイランといったフローラル系のオイルにも含まれる成分です。

 

薬理学

 最近のS. albumのエッセンシャルオイルのin vitro研究で、十二指腸潰瘍、胃潰瘍の発生に強く関連づけられている、グラム陰性菌であるヘリコバクターピロリに対し、抗菌作用があることがわかりました。
 ディヴェディらの研究は、α-サンタロールが、動物モデルと皮膚ガン細胞株両方において皮膚ガンの発生を抑える効果を持つこと、その分子メカニズムはどうなっているのかを明らかにしています。
 α-サンタロールはリラックス効果や鎮静効果など著しい生理学的な変化を引き起こします。一方でサンダルウッドオイルは皮膚に吸収されると、生理学レベルでは不活性化を引き起こしますが、行動は活性化されます。
 ミスラとデイによると、α-サンタロールはin vitroでチロシンとコリンエステラーゼを阻害する作用が強いため、サンダルウッドオイルをアルツハイマー病の治療に使える可能性があるということです。
 また、α-サンタロールはドーパミンD2とセロトニン5-HT2A受容体の結合の強力な拮抗剤だということがわかっています。さらにα-サンタロールはクロルプロマジンと同様の抗精神病薬としての効果があるということです。
 Santalum spicatumの抗炎症活性は紫外線による炎症にも効果を発揮することが研究によりわかりました。研究では、S. spicatumが細胞レベルの炎症反応の引き金となる酵素を抑制する能力が測定されました。
 ラサックはオーストラリアンサンダルウッド(S. spicatum)オイルが黄色ブドウ球菌を抑える効果を発揮した一方で、化学組成が似通っているイーストインディアンサンダルウッドオイルはさほど効果を示さなかったというベリエの研究を報告しています。
 オーストラリアンサンダルウッド(S. spicatum)オイルはティーツリーオイルよりもカンジダ・アルビカンスという酵母菌の働きを抑える作用が大きかったと報告されています。ほかのin vitroの研究でも、オーストラリアンサンダルウッド(S. spicatum)オイルは黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などのグラム陽性菌や、ニキビ、口腔カンジダ症、水虫の原因となる真菌に対しても殺菌作用を持つことが確認されました。
 Santalum spicatumは幅広い種類の化学成分を含むので効果的な抗炎症作用や抗微生物作用を持つオイルとして使用できると思います。一方、サンタロール類を多く含むサンダルウッドオイルは神経系に強い影響を及ぼすと思われます。

 

作用

 抗炎症、消毒、収れん、粘膜保護、去痰、鎮静。

 

用途

 サンダルウッドオイルはアロマセラピーでは一般的に次のような使い方があります。
神経系:抗うつ作用、神経の緊張・ストレス・不眠症を緩和する
 フィッシャー・リチィは、サンダルウッドの神経系への効果について極めて的確に説明しています。
サンダルウッドの温かみとバランスは人間の心に喜びをもたらす。神経衰弱、恐れ、ストレス、忙しい生活ペースに悩まされている人のよい薬となる。他人に対して、攻撃的でイライラした態度で反応するようになったら、サンダルウッドを必要としているということ。
呼吸器系:肺の感染症、気管支炎、カタル、空咳、喉頭炎、喉の痛み、免疫賦活
循環器系:リンパ液の停滞、静脈のうっ血、静脈瘤
尿路系:膀胱炎、腎臓や膀胱の炎症・うっ滞、骨盤・前立腺のうっ滞
スキンケア:乾燥肌、加齢肌、ニキビ、脂性肌、ひび割れた肌、日焼け、乾癬による炎症症状


 

パーソナリティ

 ワーウッドによると、サンダルウッドタイプは物静かで感情のコントロールができ、たとえ行く先が険しい道であっても自分が進むべき方向を十分に自覚しているということです。サンダルウッドタイプの内面からにじみ出る落ち着きは年を重ねた魂のようだということです。
 サンダルウッドタイプはとても直観的です。ワーウッドによると、サンダルウッドは宇宙と直接つながることができ、何かが足りていないとき、何かがおかしいときにはそれを本能的に感知します。人生の意味を知りたがり、天に教えを請おうとします。ゆったりと達観した態度なので、他の人からは浮世離れしていると誤解され、非難されることがあります。とても物静かで自分が話すより人の話を聞く、聞き上手な面があります。すぐれたヒーラーになる資質があるということです。
 サンダルウッドタイプはとても感覚的です。セックスを重要視します。自分のセクシャリティを恐れず、人生の宝として見ることができます。サンダルウッドタイプは気さくで、一緒にいて居心地のよい人で、自分に自信があり、人を落ち着かせることができます。
 フィッシャー・リチィは次のように言っています。
サンダルウッドは他人と接触し、孤独を乗り越えたい人の助けとなる。サンダルウッドは心を開いて他人を受け入れ、自分の自己中心的な面を直す助けをしてくれる。自己開示、心の温かさ、理解力を育む。
 MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)の性格類型の観点からは、サンダルウッドはINFP(内向、直観、感情、知覚)型だと言えると思います。INFP型はやさしく、落ち着いていて、おおらかで肯定的です。自分が信じるものに対し、誠実にコミットすることが基本だと考えています。さまざまな関心事を一人で楽しむ時間が好きです。新しいことを学んだり調べたりすることが好きです。思索にふけることが多く、とくに人生の意味や不可解さを理解することに時間を費やします。


 

サトルアロマセラピー

 サンダルウッドの精妙な特質は昔から瞑想、祈り、スピリチュアルな儀式に適しているとみなされてきました。
 モージェイはサンダルウッドのやさしいウッディ調の香りが、思考の支配から逃れさせ、考えすぎの傾向のある人を楽にすることができると述べています。自分の中にある調和の場−−身体、心、魂(スピリット)が一つになる場−−へと導いてくれます。
 サンダルウッドはサトルボディの香りであるとよく言われています。サンダルウッドはベースチャクラとクラウンチャクラの両方に対応しています。フィッシャー・リチィは「どうしたらベースチャクラと最高位のチャクラ両方に対応できるのでしょうか?」という問いに対し、「サンダルウッドオイルはクンダリーニの力を目覚めさせ、全てのチャクラをつなげることができるのだ」と答えています。
 

エネルギー

 サンダルウッドオイルのエネルギーは涼性です。中医学において、サンダルウッドは熱性の炎症、カタルの症状に適していると言われています。
 モージェイは心と魂(スピリット)に働きかけるサンダルウッドの力は神経系の興奮を冷まし、落ち着かせる働きと関係があると述べています。頭痛、不眠症、神経疲労へと至る熱証の興奮状態によいということです。
 アーユルヴェーダにおいて、サンダルウッドはピッタが過剰な状態に関係する症状を緩和するのに使われます。
 

使い方

アロマバス
 お風呂で全身浴するためには、お湯に最大5滴まで入れてください。足湯や手浴の場合は洗面器に入れたお湯に2〜3滴入れてください。
マッサージ
 適切にブレンドしたエッセンシャルオイルをキャリアオイルに2.5%の割合で希釈する。キャリアオイルが10mlの場合、エッセンシャルオイルを5滴入れると2.5%の濃度になります。
吸入
 エッセンシャルオイルを吸入するのに最もよい方法はディフューザーを使うことです。超音波ディフューザーを使う際は説明書どおりに使用するようにしてください。

 

ブレンディングのコツ

 調香師であるロジャ・ダブはサンダルウッドオイルで香水を作ることの難しさを見事に説明しています。
この原料は、一瞬香っていたはずなのにいつのまにか消えている、というように嗅覚をだますため、バランスよく使うのが難しい。
 サンダルウッドはやわらかく、甘く、ウッディ系、バルサム調で、ブレンドに加えるのに最も素晴らしいオイルの一つです。強い香りを放つわけではありませんが、とても長く香りが持続し、他のオイルの香りを引き立てる力があります。ブレンドに入れると、繊細な優美さ、そしてバランスと調和をもたらします。
 香水業界では、サンダルウッドは保留剤とみなされています。しかし、サンダルウッドオイルの価格は高騰しているため、以前よりも注意を払って使用しなければならないオイルになりました。
 通常、サンダルウッドをブレンドに入れる場合は全体の5〜10%程度にすることをお勧めします。サンダルウッドの希少さや値段を考えると、香水、サトルアロマセラピー用のブレンドオイル、スキンケア化粧品に使用するのがよいと思います。
 個人的にはサンダルウッドをフローラル系のエッセンシャルオイル(ネロリ、ローズ、ジャスミン)とブレンドするのが好きです。強いフローラルの香りをうまくまとめ、バランスをとってくれるからです。
 サンダルウッドは全ての香りのタイプとよく合いますが、最も合うのはフローラル系の香り、そして温かみのある香り、ウッディ系、アーシー系の香りです。サンダルウッドは柑橘系オイルの新鮮で活力あふれる香りにもぴったりです。また、フランキンセンス、ロックローズ、ペルーバルサムのように濃厚で温かみのある樹脂系の香りともよく調和します。
 私はサンダルウッドオイルをスパイシー系、ハーブ/カンファー系のオイルとブレンドするのは、抗微生物作用や呼吸器系への作用を取り入れたい場合のみで、普通はしません。
 

サンダルウッドを使ったパーフェクトポーションの定番商品

 最近、パーフェクトポーションでは、ブレンドに西オーストラリア産のサンダルウッドオイルを使っていますが、近いうちにバヌアツやクイーンズランドのサンダルウッドオイルを使ったブレンドも作り始めたいと思っています。


 サンダルウッドオイルはパーフェクトポーションのクラウンチャクラブレンド(Cosmic)に使われていますが、その理由は言うまでもありませんね。チャクラバランシングミストチャクラバランシングマッサージオイルにサンダルウッドオイルは欠かせない存在です。
 サンダルウッドオイルはグリーンゴッデスブレンドに含まれる22種類のエッセンシャルオイルのバランスを取る要として大活躍しています。


 セイクレッドスペースブレンドシリーズのデザートドリーミングにも極上の香りを作り出すのに貢献しています。サンダルウッドオイルのエネルギーの性質は涼性で、火そしてピッタエネルギーを鎮静する働きがあります。そういうわけでピッタブレンドファイアーブレンドに使われているのです。アースブレンドには瞑想的な要素を加え、アルーアブレンドにはジャスミンのうっとりするような香りを引き立てるために加えられています。また、グレートアウトドアブレンドではサンダルウッドがユーカリプタスとクンゼアという個性の強い香りをまとめ、バランスを取っています。
 それぞれのブレンドにサンダルウッドオイルが入っていますが、どれもとてもユニークなものです。サンダルウッドがいかにブレンド作りに欠かせないかがよくわかると思います。サンダルウッドオイルは他のオイルの性質を引き立て、深めることができるのです。


 スキンケアに求められる肌にやさしい性質や抗炎症作用を持つサンダルウッドオイルはスキンケア化粧品へ加えるのにもってこいです。ベアフェイスドエクスフォリエントサンダルウッド&パルマローザモイスチャークリームに使われていますし、肌をいたわり、冷やす作用のあるピュアプラントハイドレーションセラムにも入っています。


 ボディケア用品の中で私が気に入って愛用しているものの一つがアフターサンレスキュージェルです。サンダルウッドオイル、ラベンダーオイルとアロエベラをブレンドしたもので、太陽の下で無防備に長時間過ごしてしまったとき、火照った肌を落ち着かせてくれるアイテムです。
 

サンダルウッドオイルの心を落ち着かせる性質はビューティフル ベイビーシリーズにも活かされています。シャンティパフュームでは、サンダルウッドがジャスミンの濃厚なフローラルの香りをうまく調整しています。ヘイワパフュームは、サンダルウッドとユズのオイルが素晴らしい調和を見せ、繊細でフレッシュかつ軽やかなウッディ調の香水になっています。 


 もう少しで、天国のような極上の香りのパーフェクトパッションマッサージオイルを忘れるところでした! これぞローズアブソリュートとジャスミンアブソリュートのシンプルなシナジーのなせる技です。
 パーフェクトポーションのサンダルウッドブレンドの中で私が最も気に入ってるのは、コネクションパルスポイントです。モグラ、ケウダ、サンダルウッドの素晴らしい香りのブレンドです。ケウダはアッターで、サンダルウッドオイルをベースにしてパンダナスの花を蒸留したものです。

 

安全性

 サンダルウッドオイルは一般的に毒性・刺激性・皮膚感作性がないと言われています。禁忌事項はありません。
 しかし、ティスランドの著書には3,452人の皮膚病患者に2%の濃度のイーストインディアンサンダルウッド(S. album)オイルのパッチテストをしたところ、12人(0.345%)にアレルギー反応が見られたという研究が紹介されています。ティスランドはこの研究結果、そして、光感作反応のリスクから、サンダルウッドオイルの使用濃度は最大で2%に抑えるべきだと述べています。
 また、ティスランドは、ほかのサンダルウッドオイルの安全性の情報については、化学組成が類似していることからイーストインディアンサンダルウッドオイルと同様に考えていいだろうと述べています。


 

参考文献

Aftel M. Essence & Alchemy. Bloomsbury publishing Plc, London, 2001.
Battaglia S. The Complete Guide to Aromatherapy. The International Centre of Holistic Aromatherapy. 2nd ed, Brisbane, 2003.
バタリア, S. 溝口恭子(訳)『アロマセラピー完全ガイド(上下巻セット)』パーフェクトポーションジャパン,      2013年.
Cropwatch’s Sandalwood Bibliography, v1.13 June 2010, www.cropwatch.org
Dhanya B. et al.  Sandal (Santalum album) conservation in southern India: A review of policies and their impacts. Journal of tropical agriculture 48(1-2):1-10,2010.
Fischer-Rizzi S. Complete Aromatherapy Handbook. Stirling Publishing Co., Inc. New York, 1989. 
フィッシャー・リチィ, S. 手塚千史(訳)『天の香り : アロマテラピー』あむすく, 1994年.
Keenan R. Santalum lanceolatum in Queensland. Sandalwood Research Newsletter, September 1996, Issue 5. 
Kerr J. Essential oil Profile – Australian Sandalwood. Aromatherapy Today. Volume 15 September 2000.
Kumar ANA, Joshi G, Ram HYM. Sandalwood: History, uses, present status and the future. Current Science, Vol. 103, no.12, 25 December 2012.
Lawless J. The Encyclopaedia of Essential Oils.  Element Books limited, Dorset, 1992.
ローレス, J. 武井静代(訳)『エッセンシャルオイル図鑑―アロマセラピーと薬草療法のためのエッセンシャルオイル・ガイド 』東京アロマセラピーカレッジ, 1998年.
Lis-Balchin M. Aromatherapy Science – A guide for healthcare professionals. Pharmaceutical press, London, 2006. 
リス・バルチン, M. 田邉和子,松村康生(監訳)『アロマセラピーサイエンス : 科学的アプローチによる医療従事者のためのアロマセラピー』フレグランスジャーナル社, 2011年.
Misra B, Dey S. Biological activities of East Indian Sandalwood Tree, Santalum album. PeerJ PrePrints, 12 Nov 2013. 
Mojay G. Aromatherapy for Healing the Spirit. Healing Art press, Rochester, Vermont, 1999. 
モージェイ, G. 前田久仁子(訳)『スピリットとアロマテラピー : 東洋医学の視点から、感情と精神のバランスをとり戻す』フレグランスジャーナル社, 2000年.
Ochi T. et al. Anti Helicobacter pylori compounds from Santalum album. J. Nat. Prod., 2005,68,819-824. 
Page T. et al. Vanuatu sandalwood – growers’ guide for sandalwood production in Vanuatu. ACIAR, 2012. 
Radomiljac AM. et al. Sandal and its Products: Proceedings of an international seminar held on 18-19 December 1997, organised by the Institute of wood Science and Technology (ICFRE) and Karnataka State forest Department, Bangalore, India. ACIAR Proceedings No. 84.
Schnaubelt K. The Healing Intelligence of Essential Oils. Healing art press, Rochester, Vermont, 2011. 
Thomson L, Padolina C, Sami R, Prasad V, and Doran J. eds.  Sandalwood Resource Development, Research and Trade in the Pacific and Asian Region. Proceedings of the regional workshop Port Vila, Vanuatu, 22-25 November 2010. 
Tisserand R, Young R. Essential Oil Safety. Churchill Livingstone, 2nd ed, UK, 2014.  
ティスランド, R., バラシュ, T. 高山林太郎(訳)『精油の安全性ガイド. 上巻』フレグランスジャーナル社,           1996年.
ティスランド, R., バラシュ, T. 高山林太郎(訳)『精油の安全性ガイド. 下巻』フレグランスジャーナル社,           1998年.*
Weiss EA. Essential Oil Crops. CAB International, London, 1997.
Worwood V. The Fragrant Mind. Transworld Publishers Ltd. London, 1995.
ワーウッド, V. 衣川湍水(訳)『フレグラント・マインド』フレグランスジャーナル社, 1998年.
Worwood V. The Fragrant Heavens. Transworld Publishers Ltd. London, 1999.
Wrigley J. Santalum – a Fascinating Genus. http://asgap.org.au/APOL#!/sep03-3.html
 
*旧版の翻訳物