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ゼラニウム Geranium
Pelargonium graveolens
 
ゼラニウムオイルには数種類あり、それぞれペラゴニウム属の栽培種、変種、交配種から採取されます。
主要な種は P. capitum 、P. graveolens 、P. radens とP. odoratissimum です。
ブルボンゼラニウムは P. capitum と P. radens の交配種である、ローズという園芸品種から生産されます。
ブルボンゼラニウムは一般的に P. graveolens と呼ばれています。1
 
 
科名
フウロソウ科
 
 
植生と原産地
ゼラニウムは、実際のところ、その起源をめぐって大きな混乱があります。ペラゴニウム属に天然種だけで250種類あるほか、何百種類もの交配種、何千種類もの園芸品種があることを考えると、無理もないのかもしれません。1
ゼラニウムは1m程度になる多年草の低木で腺毛に覆われ、葉には芳香があります。
ゼラニウムの原産地は南アフリカです。17世紀にヨーロッパに導入され、交配種が作られました。こうして作られた、葉に香りのある交配種は世界中に広まり、後にゼラニウムオイル採取のため栽培も行われました。1
フランス香水業界のために初めてゼラニウムが植えられたのは1847年のアルジェリアでした。1880年代には、レユニオン島に大規模なプランテーションが設立されました。ゼラニウムオイルは中国やエジプトなど
でも生産されています。中国産のゼラニウムはブルボンゼラニウムとかなり似ていますが、エジプト産のゼラニウムはブルボン産とはかなり異なります。1

ペラゴニウム属の他の種で園芸栽培されているものには P. citriodorum (オレンジゼラニウム)、P. fragrans(ナツメグ・ゼラニウム)、P. tomentosum (ペパーミント・ゼラニウム)があります。1
 
ゼラニウムオイルにはさまざまな種類があり、原産国名(レユニオン、中国、エジプト、モロッコ)で区別されています。1
レユニオン島で生産されているブルボンゼラニウムがゼラニウムオイルの中で最も重要なオイルとされています。
ブルガリアでズドラヴェオイルとして知られているオイルは Geranium macrorrhizum を蒸留して作られます。ズドラヴェオイルは淡いオリーブグリーン色から薄黄色がかった緑色で多少粘性のある液体で室温では30%が液体、70%が結晶という状態です。結晶は32℃を超えると溶解します。ズドラヴェオイルの主成分はセスキテルペン(最高90%)で、そのうち半分はゲルマクロンです。1
 
抽出方法
 
葉と枝を水蒸気蒸留して得られます。
 
特徴
 
ブルボンゼラニウムオイルは緑がかったオリーブ色でグリーン系の葉っぱの香りとローズの香りの合わさった強い香りです。
 
蒸留したばかりのゼラニウムの香りはジメチルスルフィドが含まれるため、独特な、どちらかというと不快なトップノートがあります。この物質は蒸留直前、植物が急速に腐敗する際、生じます。この不快なトップノートはオイルを十分に空気にさらすことで、または時間の経過とともに消えます。2
 
モロッコ産のゼラニウムオイルは濃い黄色から、黄色で、エジプト産のゼラニウムオイルは黄色から黄色がかった緑色です。両方とも、甘いバラのような香りとともにハーブ系の香りがし、いくらかレユニオン産ゼラニウムの香りと似ています。1
 
中国産ゼラニウムは茶色または黄褐色がかった濃い緑色で香りはブルボン産ゼラニウムよりもきつく、レモン系、ローズ系の香りが強く、甘いハーブ系の香りがあります。1
 
歴史的・伝統的使用法
 
初めてゼラニウムが文献に現れるのは、ディオスコリデスの『薬物誌』です。ギリシャ語で鶴を意味する「geranos」に由来する「geranion」として登場します。ゼラニウムの実が長いくちばしのような形であるため、このような名前がつきました。1 ゼラニウム全体、そしてその芳香のある葉はローマ人によって用いられました。1
 
ゼラニウムオイルの効能については、さまざまな混乱が見られます。これはカルペパーなどによるハーブの文献から、G. robertianium という今日のゼラニウムと全く異なった化学組成を持つ植物について述べている部分のみを集めたことから始まりました。3
 
ゼラニウムオイルはせっけん、洗剤、クリーム、ローション、香水などあらゆる化粧品の香料成分として使用されています。4
 
伝統的な医療としての使用法は下痢と赤痢の治療でした。おそらく平滑筋に対して鎮痙作用があるからだったのでしょう。4
 
化学組成
 
産地によって、ゼラニウムオイルの化学組成にはかなり違いがあります。1



 

成分 ブルボン産 中国産 エジプト産
リナロール 12.90% 3.96% 9.47%
シトロネロール 21.28% 40.23% 27.40%
ネロール 1.24% 0.67% 0.88%
ゲラニオール 17.45% 6.45% 18.00%
ぎ酸シトロネリル 8.37% 11.35% 6.74%
ぎ酸ゲラニル 7.55% 1.92% 4.75%
酪酸ゲラニル 1.34% 0.98% 1.48%
チグリン酸ゲラニル 1.04% 1.32% 1.06%
イソメントン 7.20% 5.70% 5.39%
グアイア-6,9-ジエン 3.90% 4.40% 0.27%



作用
 
抗うつ、消毒、収れん、瘢痕形成、細胞成長促進、利尿、デオドラント、止血、収れん性止血、強壮、抗寄生虫、癒傷。
 
薬学・臨床研究
ゼラニウムオイルはin vitroで抗真菌活性・抗菌活性を示すことが報告されています。4,5
 

用途
 
◇ 解毒
利尿剤であり、リンパ系に刺激を与えます。セルライト、体液滞留、くるぶしの浮腫に効用があります。6,8,9
 
◇ 外皮系
収れん作用と止血作用があるので、傷や打ち身の治療に役に立ちます。6,8,9 抗炎症作用があるので、アトピー性皮膚炎、乾癬などの症状によく、ニキビの治療に使用されます。8,9 細胞成長促進作用があり、やけど、傷の治療に役立ちます。6,8,9
 
◇ 神経系
神経系の統制に素晴らしい効果を発揮します。ストレス、過緊張、落ち込み、頭痛、不安を和らげるために、ゼラニウムオイルのお風呂、マッサージ、芳香浴をするとよいでしょう。7,8 ゼラニウムオイルは神経系に対して鎮静する作用、高揚させる作用があります。7
 
◇ 生殖器系
副腎皮質刺激剤と言われています。副腎皮質ホルモンは基本的に調整し、バランスを整える働きがあります。そのため、ゼラニウムオイルはホルモンバランスが崩れていることから生じる諸症状によいとされているのです。とくにPMS、更年期障害に使用するとよいでしょう。6,8,9
 
◇ スキンケア
ゼラニウムオイルはその魅力的な芳香だけでなく、皮脂生成のバランスを取る働きから、スキンケアによく使用されます。乾燥肌、脂性肌、混合肌のいずれにも有用です。7,8,9
 
 
エネルギー

ゼラニウムオイルは中医学から見ると、涼・湿の性質があります。熱を冷まし、気の流れを滑らかにするため、心を落ち着かせ、身体をリラックスさせ、欲求不満やイライラを緩和することができます。10
 
 

パーソナリティ

ゼラニウムタイプはいつも誰かの世話、何かの世話をしている母性的な性格だと言われています。
ゼラニウムタイプはどこに行っても、安心感と安定感を作り出すことができます。気さくで人を安心させるタイプですが、それほど外向的でもおしゃべりでもありません。緊張やストレスをほぐす能力があります。11
 
 
サトルアロマセラピー
仕事中毒の完璧主義者にとって最適です。このような人は創造や直感、感覚的な体験を忘れているからです。10
 
 
適用

局所塗布 ̶マッサージ、湿布、入浴、軟膏、スキンケア
吸入 ̶直接吸入、ディフューザー、アロマポット、アロマライト
 
 
安全性

毒性・刺激性・皮膚感作性はないと報告されています。しかし、過敏な人が皮膚炎になった事例が報告されています。4
 
 
参考文献

1. Weiss EA. Essential oil crops. CAB International, UK,1997.
2. Arctander S. Perfume and flavour materials of natural origin. Allured Publishing, USA, 1994.
3. Lis-Balchin M. Geranium oil. The International Journal of Aromatherapy, 1996; 7(3): 18.
4. Leung A, Foster S. Encyclopedia of common natural ingredients used in food, drugs and cosmetics. 2nd edn, John Wiley and Sons Inc, USA, 1996.
5. Lis-Balchin M. Bioactivity of geranium oils from different sources. Journal of Essential Oil Research,1996; 8(3): 281-290.
6. Davis P. Aromatherapy: An A-Z. 2nd edn. The C.W. Daniel Company Limited, Great Britain, 1999.
7. Tisserand R. The art of aromatherapy. The C.W. Daniel Company Limited, Great Britain, 1977.
8. Lawless J. The encyclopaedia of essential oils. Element Books Limited, Great Britain, 1992.
9. Lavabre M. Aromatherapy workbook. Healing Art Press, USA, 1997.
10. Mojay G. Aromatherapy for healing the spirit. Hodder and Stoughton, UK, 1996.
11. Worwood V. The fragrant mind. Doubleday, Great Britain, 1995.



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© Salvatore Battaglia 2016