ジンジャー (ショウガ)




ジンジャーは魂と心に温もりと情熱を注ぎ込む香りで、アパシーに陥っている人、やる気が出ない人、意気消沈して何もかもどうでもよくなっている人、心が冷めきっている人、どん底に落ち込んでいる人に役立つオイルである。1

ホームズのこの描写はジンジャーが私たちの心にもたらす温もりと活力を見事に表現しています。
 

異名


 同じショウガ科にジンジャールートまたはチャイニーズジンジャーの名で知られる Languas officinarumがあります。2
 

科名


 ショウガ科
 

植生と原産地


 ジンジャーは熱帯性の多年草で0.6〜1.2mまで成長し、アシのような茎、皮針形の葉、紫色の斑のある黄色い花をつけます。香辛料であり、エッセンシャルオイルの源である塊根から直接、茎が生えます。2
 ジンジャーはインド原産で現在では、インド、中国、東南アジアのほぼ全域、オーストラリア、アフリカの熱帯地方で栽培されています。2
 

抽出方法


 ジンジャーオイルは Zingiber officinaleの皮付きの根茎を乾燥させ、すりおろしたものを水蒸気蒸留するのが一般的ですが、時折、水蒸気蒸留と直接蒸留の折衷法で蒸留することがあります。
 ジンジャーオレオレジンは Z. officinale の乾燥させた皮付きの根茎を溶剤抽出することによって得られます。皮をむくとエッセンシャルオイルの大半が失われてしまうからです。3
 超臨界流体抽出法では、根茎を粉末状にしたものを圧力下で流体となった二酸化炭素の中におき、芳香成分と辛味成分を溶け出させます。ワイスによると、この抽出方法では、ショウガ自体が持つ風味と辛味にかなり近い状態のジンジャーエキストラクトを得ることができるということです。2
 

特徴


 ジンジャーオイルは薄黄色から薄い琥珀色の流動性の高い液体です。香りは温かみがある一方、爽やかなウッディ、スパイシーな香りでトップノートにかすかなフレッシュさが感じられます。甘く、芳醇で、バルサム系のフローラルと言ってもいいような香りを基調とし、長く持続します。4
 ジンジャーのオレオレジンとCO2抽出のエキストラクトはこげ茶色から黒に近い琥珀色で、粘性が高く、温かみがあり、スパイシーで甘い香りです。4 
 ジンジャーの香りのほとんどはエッセンシャルオイルによるものですが、あの鋭く辛味のある風味はショウガオール、ギンゲロールに由来します。シュナウベルトは、エッセンシャルオイルのブレンド作りにはCO2抽出のエキストラクトが最適だとしています。水蒸気蒸留法で抽出したエッセンシャルオイルは温かみがあり、マイルドでやわらかい香りで、鋭さがないからです。5
 

偽和 


 ジンジャーオイルの偽和はほとんど見られません。1,6
 

歴史的・伝統的使用法


 ラテン語の「Zingiber(ジンギベル)」は古代タミル語でショウガの根茎を意味する「ingiver(インギバ)」から来ています。ingiverという言葉は、アラブ商人を通じて、古代ギリシャ・ローマに伝わり、そこから西ヨーロッパ全体に伝わりました。紀元2世紀のローマでは、通関手続き所であったアレキサンドリアを通過するとき、関税が課された数少ない商品の一つでした。中世、ショウガは特別な食べ物とみなされていました。13、14世紀は、コショウの次によく使われ、希少価値の高い香料でした。2
 ショウガは古代からインド、中国でスパイス、薬用植物として重宝されてきました。インドでは、偉大な薬(mahaoushadha)、万能薬(vishwabheshaja)と呼ばれていました。ショウガはアーユルヴェーダの書『チャラカ』と『スシュルタ』に登場します。7
 ショウガは世界中の伝統医学、そして現代医学において、妊娠時のつわりや船酔いの際の吐き気・嘔吐に対処するために使用されています。多くの国で、処方箋不要の乗り物酔い予防薬として認可されています。また、リウマチ性関節炎、変形性関節炎の治療のための抗炎症薬としても使用されています。7
 ショウガは中華料理、日本料理、インド料理など多くのアジア料理に必須の食材です。世界中の人々を魅了したショウガの栽培は中国・インドから世界のほとんどの熱帯・亜熱帯地域に広がりました。7
 中医学で、ショウガは風邪や冷えに使用し、発汗を促進し、粘液を排出し、食欲を増進するのに利用されます。乾燥させたショウガ(乾姜)は腹痛、下痢、コレラ、出血の治療に使われました。8
 食品や飲料の風味付けにはショウガのオレオレジンが好まれます。焼き菓子、スパイスブレンド、肉料理のソース、砂糖菓子、のど飴、炭酸飲料の風味付けに使われています。4

 

化学組成


 蒸留ジンジャーオイルに含まれる100種類程度の化学成分はすでに同定されています。主な成分はセスキテルペン炭化水素(50〜66%)と含酸素セスキテルペン類(最高17%)で、その他はモノテルペン炭化水素類と含酸素モノテルペン類です。2
 蒸留ジンジャーオイル数種の一般的な化学組成は次のとおりです。2
 
成分 オーストラリア スリランカ インド
α-ピネン 微量 0.2-3.3% 0.4%
カンフェン 微量 0.9-14.1% 1.1%
ゲラニアール 3-20% 1.0-7.7% 1.4%
ネロール 1-10% 2.5-10.1% 0.2%
1,8-シネオール 微量 2.1-12.23% 微量
アル-クルクメン 6-10% 5.7-17.7% 17.7%
ジンギベレン 20-28% 0.3-1.2% 35.6%
(z)-β-ファルネセン - 0.5-1.2% -
β-セスキフェランドレン 7-11% 0-0.3% -
b-ビサボレン 5-9% 20.1-60.4% 0.2%
b-オイデスモール 微量 1.0-5.4% 微量
 
 オーストラリアのジンジャーオイルは他のジンジャーオイルと比べて、シトラール(ゲラニアール)の含有率が高いです。そのため、独特なレモンのような爽やかな香りがあります。根茎を丁寧に乾燥させていることによるのかもしれません。2
 (シトラール含有による)レモン系の香りは、生のショウガまたは素早く乾かしたショウガを蒸留した場合に出てくる香りで、天日干しのショウガを蒸留した大量生産型のエッセンシャルオイルにはみられない香りです。9
 乾燥した根茎を蒸留したジンジャーオイルはセスキテルペン炭化水素類を多く含み、モノテルペン炭化水素類と含酸素化合物が比較的少ないという特徴があります。主なセスキテルペン炭化水素類としては、ジンギベレン、アル-クルクメン、β-ビサボレン、(-)-β-セスキフェランドレン、(E,E)-α-ファルネセンが含まれます。9
 ジンギベレンと(-)-β-セスキフェランドレンは、ジンジャーオイルの保存状態が悪いと、ともに酸化してアル-クルクメンになります。したがって、アル-クルクメンの含有率が高いと、エッセンシャルオイルの劣化を示している可能性がありますが、蒸留の条件を反映している可能性もあります。9
 
 ジンジャーオレオレジンとCO2抽出のジンジャーエキストラクトにはギンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンといった刺激成分が含まれています。ショウガオールとジンゲロンはギンゲロールが脱水・劣化することによって生じる物質です。8
 
 CO2抽出は、ショウガの主要な刺激成分であるギンゲロール類を抽出するのに最も効果的な方法であると報告されています。2,11
 
 エタノールやアセトンといった溶剤を使用して抽出したジンジャーオレオレジンは、溶剤の蒸発の過程で揮発性成分が失われてしまうため、強い香りがしないことがわかっています。他方で、CO2に圧力を加えた抽出方法では、出発原料のショウガの本来の香りと風味に最も類似した芳香成分と刺激成分を持つエキストラクトが得られるということです。CO2抽出の条件をいじることによって、[6]-ギンゲロールの含有量をコントロールできるのです。11
 
 ジンジャーエキストラクトの生物学的活性に寄与するのは、ギンゲロール、ショウガオール、[6]-パラドール、[6]-ギンゲルジオール、ギンゲレノンA、ジンゲロン、ジアリールヘプタノイド類、ヘキサヒドロクルクミンとその誘導体であるクルクミノイド類です。3,12
 パーフェクトポーションのインドネシア産のCO2抽出の有機ジンジャーエキストラクトの主な化学成分は次のとおりです。
 ネラール(1.5%)、ゲラニアール(2.6%)、アル-クルクメン(19.9%)、α-ジンギベレン(19.6%)、α-ファルネセン(4.5%)、β-ビサボレン(10.1%)、セスキフェランドレン(16.1%)、ジンゲロン(0.03%)、全てのギンゲロール類(20.4%)、全てのショウガオール類(4.3%)。
 

薬理学と臨床試験


 薬用植物としてジンジャーを利用する場合は、生の状態の根茎を煮出すか、アルコールチンキまたは液体エキスを作ります。アルコールチンキはエッセンシャルオイルの成分のほかにショウガオール、ギンゲロールといったオレオレジンにみられる刺激性アルコール成分も含むため、最も完全な調合だと言われています。16
 ジンジャーのエッセンシャルオイルとアルコールチンキには同じ効用があると言いたいところですが、ホームズによれば、蒸留されたエッセンシャルオイルには刺激成分が入っていないため、発汗作用はないだろうということです。そのため、ジンジャーのエッセンシャルオイルを発汗剤として風邪のひき始めに使用するのは無駄なことだとホームズは言っています。16
 アロマセラピストだったら、ジンジャーに含まれる刺激成分・温める成分が含まれているオレオレジンに興味をひかれるでしょう。ギンゲロール、ショウガオールは粘膜につくとひりひりします。ジンジャーを摂取したときの血管への刺激はメタ細動脈に直接働きかけること、または身体の他の部分における感覚受容体の反射によるものだと思われます。17
 ギンゲロール、ショウガオールが消化器系、中枢神経系、心臓血管系に対してどのような働きをするのかということに関する薬理学研究はかなりの数に上ります。これらの成分はプロスタグランジン合成酵素阻害剤として強力であり、それはつまり抗炎症活性、血小板凝集阻害活性を持つことを意味します。18
 臨床試験によって、オレオレジンがコレステロール低下剤だということが示されました。ギンゲロールは胆汁分泌促進剤であり、肝臓保護剤だということがわかっています。18,19
 

制吐作用


 臨床試験によると、ジンジャーには制吐作用があることが確認されています。臨床試験の結果、ジンジャーを摂取する(1日1gを通常の用量とする)と、多くの場合、乗り物酔い、術後悪心 、つわりに対し、プラセボに比べて制吐効果があったことがわかっています。制吐作用は胃腸に直接、刺激を与えたことによるものだろうと言われています。19
 ジンジャーのエッセンシャルオイルを吸入することが、吐き気、嘔吐など化学療法を受けている乳ガン患者の生活の質(QOL)に影響する身体の症状の対処に効果があるかどうか調べる一重盲検ランダム化比較クロスオーバー試験が行われました。その結果、ジンジャーオイルの吸入は吐き気を抑える効果がないことがわかりました。しかし、生活の質(QOL)に影響する身体の症状を改善することが確認できたのです。20
 一方、744人の成人ガン患者を対象とした二重盲検法の臨床試験では、乾燥したショウガの粉末を一日0.5〜1.0g服用したところ、化学療法の急性症状である吐き気の程度を低減することができたという結果が出ています。21
 [6]-ギンゲロールと[6]-ショウガオールは胃の収縮を抑え、消化管の運動、自発的蠕動運動を増進させる作用を持つため、ジンジャーの制吐作用に関係しています。デーヴィスによると、このことによって、中枢化学受容器に対する消化管からのフィードバックが減少するので、吐き気が軽減されるということです。3
 術後悪心は麻酔や手術の後によく起こる症状です。制吐薬は術後悪心を軽減できることがありますが、常に効果を発揮するわけではありません。アロマセラピーによって術後悪心の軽減ができるかどうか調べるランダム化臨床試験が行われ、ジンジャーオイルの吸入が術後悪心に効果的であるという結果が出ています。22
 

抗炎症作用

 乾燥したショウガの粉末を3ヶ月から2年半の間、服用したリウマチ関節炎または変形性関節炎の患者に鎮痛作用が見られたという研究結果があります。ショウガには、プロスタグランジンとロイコトリエンの生合成を抑制する作用があるために、このような効果が見られたということです。3


 [6]-ギンゲロールと4つのギンゲルジオン誘導体がトロンボキサンとプロスタグランジンの生合成に寄与する主な有効成分だということが判明しています。サザンクロス大学で行われた分析では、臨界流体抽出法を使って抽出された2種類のジンジャーオイルがともにin vitroで高い抗炎症作用を発揮したということです。ジンジャーオイルに含まれることがわかっている[6]-ギンゲロール、[8]-ギンゲロール、[10]-ギンゲロール、[6]-ショウガオールは全て強力な抗炎症作用を示しました。例えば、[10]-ギンゲロールは100µMの濃度でアスピリンの二倍の抗炎症作用を発揮しました。3
 慢性のアジュバント関節炎のラットにジンジャーオイルを経口投与したところ、抗炎症作用が見られました。6
 ジンジャーオイルを一ヶ月経口投与されたマウスにおいて、血中のスーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンおよびグルタチオンレダクターゼといった酵素の濃度が上昇するとともに、肝臓のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ酵素の濃度が有意に上昇しました。ジンジャーオイルは、カラギーナン、デキストランによって生成された急性炎症とホルマリンによって誘発された慢性炎症を有意に抑制することができました。23
 

抗微生物作用


 リス・バルチンによると、ジンジャーオイルの抗菌作用はとても低いということです。その一方で、ジンジャーの根茎に含まれるセスキテルペン類はライノウィルスIBに対して、in vitroで抗ウィルス作用を示したということです。6
 ジンジャーのエッセンシャルオイルとオレオレジンが食品由来病原性真菌・細菌に対して抗微生物作用を持つかどうかを調べる実験が行われました。エッセンシャルオイル、オレオレジンともに中程度の抗微生物作用が見られましたが、どちらかと言うと、エッセンシャルオイルの方が強い作用を持つことがわかりました。24
 

消化促進作用


 ジンジャーエキストラクトに含まれる[6]-ギンゲロール、[10]-ギンゲロールといった刺激成分は胆汁の分泌を増やし、ジンジャーの排胆作用に寄与していることが判明しました。ジンジャーに見られる刺激成分は消化管の運動を促進するとも報告されています。β-ビサボレン、アル-クルクメン、α-ジンギベレンといったセスキテルペン類、[6]-ギンゲロール、[6]-ショウガオールはラットに対し、抗潰瘍作用があることがわかっています。25
 

ハーブとしての利用法


 ドイツコミッションEモノグラフは、胃腸障害や乗り物酔いにはショウガの根茎の粉末(1日2 g)を服用することを勧めています。腸蠕動運動、唾液・胃液の分泌に対して、制吐作用、陽性変力作用、刺激作用があるということです。26
 現代のハーブ療法では、駆風剤、発汗剤、鎮痙剤としてショウガを使います。腹痛、腹部のガス、消化不良、腸疝痛の対処に使われています。吐き気や嘔吐の予防薬としても有効で、とくに乗り物酔いに効果があります。変形性関節炎、リウマチ性関節炎といった炎症性症状の対処にも勧められています。6
 また、ジンジャーを1日1g内服することによって、女性の生理痛を軽減したと報告されています。2ヶ月に及ぶプラセボ対照試験の結果、イブプロフェンとメフェナム酸と同程度の効果があったということです。27
 ランダム化比較対照試験のシステマティック・レビューとメタアナリシスの結果、ジンジャーオイルが原発性月経困難症に効果があることが明らかになりました。月経期間の最初の3〜4日間、ショウガの粉末を1日750〜2000mg摂取すると、原発性月経困難症による痛みと不快感に対し、治療効果が期待できることが明確になりました。28
 

作用


 アロマセラピストの多くが、鎮痛、駆風、去痰、解熱、引赤 、刺激、健胃、発汗促進、強壮作用があると述べています。1,13,14,15
 

用途

 

循環器系

 モージェイによると、ジンジャーオイルは心臓の血液循環を活性化し、強壮するオイルだということです。血行不良、手足の冷え、心臓の疲労、狭心症に適しています。29
 

消化器系

 消化器系を活性化し、温めるため、消化不良、膨満感、腹部のガスの緩和に適します。1モージェイは乗り物酔いやつわりにはローマンカモミール、スイートオレンジとブレンドして使うべきだと言っています。29
 

免疫系

 ホームズによると、ジンジャーは抗ウィルス作用と免疫賦活作用に優れているので、ジンジャーのエッセンシャルオイルまたはチンキを風邪のひき始めに使うとよいということです。T-リンパ球と細胞性免疫を刺激するということです。しかし、すでに風邪の菌に感染した後はあまり役に立たないということです。1
 

筋骨格系

 冷えとこわばりによるリウマチ、関節炎、筋肉痛に対し、湿布やマッサージという形で使用できます。13,15,29
 

心理面

 ホームズはジンジャーをやる気が出ないとき、意志が弱くなっているとき、落胆しているとき、燃え尽き、混乱、空虚で心が冷え切っているときに使うとよいと述べています。モチベーション、勇気、自信が沸き起こるということです。1
 ゼックは、体力と心のエネルギーが枯渇しているときにジンジャーを使用することを勧めています。体力と心のエネルギーが枯渇していると、憂うつで物悲しい気持ちに陥りがちです。ゼックによると、持久力が落ちているとき、ジンジャーが力とエネルギーの持続を支えてくれるということです。30
 

呼吸器系

 カタル症状、咳、副鼻腔炎、のどの痛みによいでしょう。13,15
 

パーソナリティ


 ジンジャータイプは強く寡黙な性格です。温かみがあり、人を元気づけ、勇気づける性格です。ジンジャータイプは強く、男性的で、押しが強いですが、他人の個人的領域を尊重し、他人を独占しようとすることがないと言われます。ジンジャータイプは、聞き上手ですが、会話上手ではありません。ワーウッドはジンジャータイプが他人は好きなようにすればいいし、自分も他人から放っておいてもらいたいと思っていると述べています。31
 モージェイによると、ジンジャーオイルは明確な計画とよい意図があったとしても、原動力と楽観主義に欠けるため、率先して実際に行動に移したり、即座に動いたりすることができない人によいということです。29
 ホームズによると、ジンジャーの香りは意志と明晰さを高めるということです。やる気がなくなり、内なる力が失われているとき、とくにアパシー、優柔不断、混乱に陥っているときに、よいと彼は述べています。1
 マイヤーズ・ブリッグスのパーソナリティ論で言うと、ジンジャーはISTJ型だと思います。ISTJは非常に安定していて、責任感があり、頼りがいがあります。秘密主義、時間厳守、正確で秩序を守ります。集中力があり、めったに集中力が切れません。リラックスさせるもの全般、非生産的なことだと思っているので、リラックスするのが苦手です。地位にこだわらず、シンプルに生きることを好みます。自然の中で過ごすのが好きです。
 

サトルアロマセラピー


 ジンジャーの香りは決断力と明晰さを向上させます。アパシー、物憂さ、優柔不断、混乱、断絶といった性質を伴う、モチベーション・意志・内なる力の喪失に適しています。16
 ホームズはジンジャーオイルが心にもたらす効果を上手く表現しているので紹介します。
ジンジャーは魂と心に温もりと情熱を注ぎ込む香りで、アパシーに陥っている人、やる気が出ない人、意気消沈して何もかもどうでもよくなっている人、心が冷めきっている人、どん底に落ち込んでいる人に役立つオイルである。1
 ホームズによると、ジンジャーは内にこもりがちな人に、今自分はここに存在しているのだと実感させ、自分が心から大事にしていることについて情熱的になるよう仕向けるということです。1
 ワーウッドはジンジャーが勇敢さと勇気の香りだとしています。怖がりな人、気の弱い人に力と勇気を与えるということです。32
 ジンジャーはソーラープレクサスチャクラと強い親和性があります。これは自信と意志力を強めるチャクラです。
 

エネルギー


 ジンジャーは温める性質があるとされています。それは動脈循環によいだけでなく、消化器系、呼吸器系、生殖器系の冷えに関連した症状を除去する助けをします。1,29
 ジンジャーオイルは肺を温め、刺激するので慢性気管支炎のケアに最適でしょう。腎の陽気を強める作用があり、筋肉疲労を伴う腰痛に効用があります。29
 ホームズは性欲減退、不感症、疲労、肌や手足の冷え、アパシーは腎陽虚に関連した症状だとしています。1
 中医学と五行説によると、ジンジャーオイルは意志(「志」)を強めます。「志」は意志力と決断力を司ります。モージェイはジンジャーを次のような人に勧めています。
明確な計画とよい意図があったとしても、原動力と楽観主義に欠けるため、率先して実際に行動に移したり、即座に動いたりすることができない人に向いている。このようなタイプは計画を延期したり、自己を疑う傾向にあるため、他人の後押しを待っている。肉体との一体感が感じられないことが多いため、闊達でスタミナのいる行為に気後れすることがある。29
 五行説によると、ジンジャーは火の要素と強い親和性を持ちますが、水の要素に関連した冷えを軽減するのにも役立ちます。アーユルヴェーダの観点から言うと、ジンジャーはピッタを強く刺激するため、ピッタのドーシャが強い人はジンジャーを避けた方がよいと言われています。ジンジャーは過剰なカパを減らすのに最適です。
 

使い方


アロマバス
 
お風呂で全身浴するためには、お湯に最大5滴まで入れてください。足湯や手浴の場合は洗面器に入れたお湯に2〜3滴入れてください。
※ただし、CO2抽出のジンジャーエキストラクトに関しては、皮膚を刺激する可能性があるので、お風呂に入れるのはやめた方がよいと思います。

マッサージ
 
適切にブレンドしたエッセンシャルオイルをキャリアオイルに2.5%の割合で希釈します。キャリアオイルが10mlの場合、エッセンシャルオイルを5滴入れると2.5%の濃度になります。

吸入

エッセンシャルオイルを吸入するのに最もよい方法はディフューザーを使うことです。超音波ディフューザーを使う際は説明書どおりに使用するようにしてください。
※ただし、CO2抽出のジンジャーエキストラクトに含まれる辛味成分は鼻腔を刺激する可能性があるので、ディフューザーで使用することはお勧めしません。
 


ブレンディングのコツ

 

香水

 ジンジャーオイルは温かみ、センシュアルなノートをフローラル系のオイルに加えます。イランイラン、ローズアブソリュート、ジャスミンアブソリュートと合わせると、濃厚なオリエンタル・フローラル系の香水を作ることができます。ジンジャーのような温かみがあるスパイシーなオイルはレモン、グレープフルーツ、マンダリン、スイートオレンジのような鮮烈な香りの柑橘系のオイルとよく合います。ジンジャーオイルをアミリス、バージニアンシダーウッド、アトラスシダーウッド、サンダルウッド、コリアンダーシード、柑橘系オイルと合わせると、スパイシー・ウッディ系の男性的な香水が作れます。
 食品香料の調合においては、CO2抽出のジンジャーエキストラクトには、スイートオレンジとライムのエッセンシャルオイルがよく合います。4
 

アロマセラピー


 気管のうっ血に関連した風邪とインフルエンザを緩和するためには、ジンジャーをユーカリプタス、レモンマートル、パインまたはティーツリーとブレンドするとよいでしょう。
 筋肉痛にはジンジャーをクンゼア、フラゴニア、パインまたはローズマリーと合わせて、鎮痛作用と温める作用のあるブレンドを作ることをお勧めします。
 ジンジャーをスイートオレンジまたはペパーミントと合わせたものは、吐き気の緩和に最適なブレンドです。吐き気やしゃっくりを緩和するには、ジンジャーをスイートフェンネル、ペパーミント、カルダモンと合わせるとよいでしょう。
 

ジンジャーを使ったパーフェクトポーションの定番商品


 パーフェクトポーションの商品にジンジャーオイルが意外なほど頻繁に使われていて自分でも驚くほどでした。ジンジャーオイルをメインにすることはほとんどありませんが、少量加えると、温かみをプラスでき、ブレンドにおもしろみを与えることができるのです。
 ジンジャーをレモングラス、ブラックペッパー、ライムのエッセンシャルオイルと合わせたブレンドはタイフュージョンエッセンシャルオイルブレンドルームスプレーのトロピカルで瑞々しい香りを作り出しています。
 身体がだるくて、浮腫んでいて、関節が不調な場合、カパドーシャのバランスが崩れている可能性があります。カパエッセンシャルオイルブレンドにおいて重要な役割を果たしているジンジャーオイルは過剰なカパのエネルギーのバランスを整える助けをします。
 温め、免疫を刺激する作用のあるジンジャーオイルはユーカリプタス、ティーツリー、レモン、パインなどのエッセンシャルオイルとともに、風邪やインフルエンザ、気管支のうっ滞を緩和する定番商品であるブリーズイージーエッセンシャルオイルブレンドブリーズイージーバームに使われています。
 京都エッセンシャルオイルブレンドという商品を最近発売開始しました。このブレンドの香りをかぐと、すぐに京都の裏通りや美しいお寺にいるような気分になるでしょう。ジンジャーがスパイス系のオイルや、ヒバ、ヒノキ、サンダルウッド、シダーウッド、ベチバーといったウッディ系のオイルと美しいハーモニーを作り出すブレンドです。
 グリーンゴッデスエッセンシャルオイルブレンドではジンジャーの温かみとぴりっとしたスパイスがそれぞれのオイル、とくにフローラル系のオイルと溶け合い、その魅力を存分に引き出しています。
 ジンジャーはソーラープレクサスチャクラと共鳴するとともに、ベースチャクラとセイクラルチャクラをサポートするオイルです。そのため、チャクラバランシングシリーズに重要な役割を果たしています。
 ピースパフュームシリーズの中では2つの香水にジンジャーオイルが使われています。一つ目がアンです。ローズオットーとローズアブソリュートに温かみを加えるためにほんの少しのジンジャーオイルが使われています。また、シャロームにも使われています。この香水は私のお気に入りですが、涼しい季節にしか使っていません。神秘的で、強く感覚に訴える香りで、スピリチュアルな気持ちになる香水です。この感覚はロックローズ、ベンゾイン、パチュリ、ローズアブソリュートという組み合わせから来ています。少量のジンジャーオイルを加えることで、強烈な香りに調和とバランスがもたらされています。
 ハニーアンドチャイダブルクリームは肌に塗るととても気持ち良く、香りも最高です。ジンジャーオイルを蜂蜜とシナモンに混ぜているのですが、あまりにいい匂いなので、食べたくなってしまう香りです。
 ジンジャーは筋肉や関節の痛み・疲労を癒すアクティブバームの重要な原料の一つです。ジェットセッター アロマティックミストはレモン、ペパーミントにジンジャーがブレンドされていますが、旅のお供に最高の一品です。
 

安全性


 ジンジャーオイルに関する禁忌事項はとくにありません。ジンジャーオイルには毒性・刺激性がありません。25人の被験者の肌に4%の濃度で塗布したところ、皮膚刺激および皮膚感作は起こりませんでした。33
 

参考文献

 

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*旧版の翻訳物

上記は、学習用にアロマの学術的な概要を示しています。

 

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© Salvatore Battaglia 2017